■手段を選ばない改憲を狙う国民蔑視政治への監視を!
去る七月二十九日に、「国家基本問題研究所」(改憲を主張するジャーナリスト桜井よし子氏が理事長)が都内で開催したシンポジウムの席上で、自民党・安倍内閣の麻生太郎副総理・財務相が憲法改正に絡んで発言した、ナチスの「手口に学んだらどうか」ということほど現在の改憲勢力の意図と姿勢をあけすけに示したものはありません。そこに思わず吐露しているところは、改憲をするためには手段などは選ばず、国民の目など晦まして強行してしまえという、まさに本音と思える政治謀略への慫慂です。
立憲主義に立った現憲法第九六条のもつ、改憲のための国会の発議要件である、両院の国会議員の三分の二以上の賛成を、二分の一以上という一般法令並に切り下げて時の政権の思うままな改憲─自民党の憲法九条を改変し国防軍を持ち、九七条の基本的人権の基本を全面削除し表現の自由の制限の導入、等々─を狙えるものにするという改憲への迂回作戦などとも表裏一体のあの手この手の改憲手段への呼応の一つです。
先の参議院選挙で、改憲派とそれに従う勢力が国会の中だけでは過半数を占めたとはいえ、国民世論の過半数はなお憲法改変には疑義を持ち擁護しています。右のような暴言暴挙、政治的迂回作戦が出てくることは、改憲を狙う勢力の未だ国民的基盤における道理の無さでもあります。しかし一方で、「集団的自衛権」の行使容認への執拗な策動など、なし崩し的に憲法改変への動きは続けられています。
今回の麻生副総理の暴言に対し、心底より怒りをこめて抗議し、糾弾するとともに、国政を執る選良としての資質を失するものとして即時辞任を求めます。また、ナチス肯定発言の追及にのみ止まらせず、その本質にある国民への蔑視と手段を選ばない政治、改憲への国民的ないっそうの監視をより強めることを訴えるものです。
二〇一三年八月四日
新日本歌人協会・常任幹事会
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